わんこそばのようなビール!?ケルシュはドイツのケルン市周辺でのみ造られるビアスタイル

ビアスタイル「ケルシュ」について解説ビールのあれこれ
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こんにちは!光太郎です。

この記事ではビアスタイルの1つ「ケルシュ」について解説いたします。

あまり耳馴染みのないビアスタイルかもしれませんが、それもそのはず。
実はドイツのケルン市がある地域でのみ造られるビアスタイルなのです。

その理由や風味の特徴、また現地でケルシュを飲む際の面白い仕組みについてもお伝えいたします。

どうぞ最後までお読みください(^^)

ケルシュは協定に明記されて守られているビアスタイル

ケルシュというビアスタイルは、前述の通りドイツにあるケルンという都市とその周辺で醸造されたビールにのみ呼称することが許された名称です。

「ケルシュ」という単語は、欧州連合(EU)の法律のもと地理的保護表示の対象となりました。
地理的保護表示とは、要するに「その地域の名前を他の製品などに利用してはいけない」というもので、著作権保護のような意味合いを持っています。

例えば「神戸ビーフ」などは、その地域(神戸市)で育てられた牛にのみ使える名称。
(厳密には細かな規定あり)
北海道で育てた牛を「神戸ビーフ」と呼んでいいことになると、市場は混乱し、ブランドとしての価値も下がることになりますよね。
もちろん「神戸で育てた豚」に神戸ビーフという名称を使うこともできません。

ケルシュについては、ケルン市の周辺50kmの地域で醸造されたビールにのみ付けてもよい名称となったわけです。

このことは1986年、正式に「ケルシュ協定」という協定に明記されました。

協定には「ケルシュ」の定義として、

  • 明るい色味であること
  • ホップが効いているが効きすぎていないこと
  • 濁っていないこと
  • 上面発酵(エールスタイル)で造ること
  • アルコール度数は4.5%〜5.2%
  • 「シュタンゲ」と呼ばれるグラスで飲むこと

というような内容が明記されています。

またドイツ国内のビールなので、有名なビールのための法律「ビール純粋令」に従って「ホップ・麦芽・水・酵母」のみを原料に使ったビールとなっています。

こうして品質を保ったビールが「ケルシュ」を名乗れるわけなんですね。

ケルシュはケルン以外で造れないわけではない

とは言っても、ケルシュはケルン周辺50kmでしか造れないわけではないんです。

協定はEUのみで有効なもののため、正確には【「ケルン(ドイツ)以外のEU諸国」では同じ製法で造ったビールにケルシュと名付けられない】という意味になります。

光太郎
光太郎

日本のクラフトビールにもケルシュのビールはありますね(^^)
ただし、厳密には「ケルシュスタイル(ケルシュ風)」という呼び方になり、あくまで「(本場の)ケルシュ」とは別物という扱いになるようです。

日本で造られるケルシュも「ケルシュ風」となる

日本で造られるケルシュも「ケルシュ風」となる

ケルシュの特徴

以下はケルシュの特徴です。

発祥国
ドイツ(ケルン市)
発酵方法
上面発酵
ABV
5%前後
味の特徴
すっきりしていてフルーティ
適温
9℃程度
合わせたい料理
ビールだけを味わいたい

ケルシュの特徴は上記の表の通りですが、ポイントは「合わせたい料理」について。

ドイツのビールなので、もちろんソーセージやフライドポテトのような「ザ・ドイツのおつまみ」みたいなお料理と一緒に味わってもよいのですが、ケルシュにはちょっとした特徴があります。

序盤にケルシュ協定のことについて触れましたが、その中に「シュタンゲ」というグラスについて書きました。

シュタンゲグラス(イメージ)

シュタンゲグラス(イメージ)

シュタンゲは200ml入る細長いグラスなのですが、このグラスのビールを飲み干して空にすると、お店のウエイターさんが「勝手に」中身を満たしてくれるんです笑

こちらからお代わりを要求しなくても、それこそ「わんこそば」のように注いでくれます。

そして当然、それも空にするとさらに3杯目が・・・

このようにして、現地では「空いたシュタンゲにはケルシュを注ぐ」というのがルールになっていて、ひたすらビールを飲んで楽しむ仕組みになっているんです。

光太郎
光太郎

もう飲めない!と思ったらグラスの上にコースターを置くことで無事「終了宣言」となります(^^)

もちろん無理に飲んで飲んでを繰り返す必要はなく自分のペースで楽しめばいいのですが、ビールを注ぎ足されたら「習性」としてつい飲んじゃいますよね・・・笑

ケルン市へ旅行する際には「わんこそばスタイルのビール」を満喫したいですね!

ケルシュスタイルのビールを紹介

ここでケルシュスタイルのビールを紹介いたします。

ベアレン醸造所 コローニア

岩手県のベアレン醸造所が造るケルシュスタイルのビールです。

僕は見た目のデザインがオシャレだったので以前購入したことがあるのですが、実はケルシュスタイルだったことをこの記事を書いている時に知りました笑

ベアレン醸造所の記念ビールで下の画像は少し前(17周年)のデザインなのですが、現在もデザインが変わって周年ごとに販売されているようです。

ちなみに、コローニアという名称は、「ケルン」の古い名前だそうです。

ベアレン醸造所「COLONIA(17周年)」

ベアレン醸造所「COLONIA(17周年)」

沖縄ビール サンゴビール ケルシュ

沖縄にある南都醸造の「OKINAWA SANGO BEER(ケルシュ)」です。

ラベルからも爽やかで海のイメージを受けますが、実際飲むとほんのり甘く、さっぱりとした味を楽しむことができました。

南都醸造 OKINAWA SANGO BEER KOLSCH

南都醸造 OKINAWA SANGO BEER KOLSCH

ケルシュはグビグビ飲みつつ香りも味わえるナイスなビアスタイル

この記事では、ビアスタイルの1つ「ケルシュ」について解説いたしました。

ケルシュの見た目はピルスナーのようで、実際飲む際もピルスナーのようにグビグビ飲みたくなるビールです。
(そしてシュタンゲにおかわりが注がれる笑)

上面発酵(エール)なのでホップの香りを楽しみたいところですが、ケルシュの特徴としてホップの香りを全面に押し出さず、ほんのりと香るような造りとなっています。
冷たすぎない温度に冷やしてグイッと飲んで味わうことで、ケルシュの持つおいしさを十分堪能できるでしょう。

日本では「ケルシュスタイル(ケルシュ風)ビール」しか飲めませんが、だからと言って品質が悪いということはありません。

いつか行くケルン市に本物の楽しみは取っておくとして、それまでは日本で「ケルシュスタイルビール」を楽しむようにしましょう(^^)

光太郎
光太郎

また1つ、ビールのために行ってみたい地域が増えましたね!

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